【徹底解説】外反母趾が発症・悪化するメカニズムについて

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外反母趾とは

外反母趾は、真っすぐだった足の親指（母趾）がだんだんと小指側に向けて「くの字」に変形する症状です。
こちらでは、外反母趾のメカニズムを以下の３つに切り分けて、なるべく分かりやすくご説明します。

• 発症のメカニズム
• 痛みのメカニズム
• 悪化のメカニズム

外反母趾の概要をより詳しく知りたい方は、「外反母趾とは？ 知っておきたい原因と対策法」の記事をご覧ください。

外反母趾が発症するメカニズム

外反母趾は、さまざまな要素が絡み合って発症するといわれており、いまのところ外反母趾の原因となるものを断定することができていません。

外反母趾の発症にはいくつかの要因が考えられています。

■外的要因

• 先の細い靴を日常的に履く
• ヒールの高い靴を日常的に履く
• 足サイズに合っていない靴を履く
• 外側趾の欠損
• 内側側腹靱帯損傷

■内的要因

• 遺伝的要因（骨の形、靭帯の硬さ、筋肉や関節の軟らかさや可動域など）
• 扁平足や開張足など足アーチの崩れ

そのなかでも、外反母趾患者の多くに共通するのが開張足も患っていることが多いということです。
研究でも外反母趾は足アーチが低下していることが報告されています。
※ただし、開張足が外反母趾の発生要因であるかは、まだ議論の余地があります。

開張足は、なんらかの原因で足裏の「横アーチ」と呼ばれる深横中足靱帯（しんおうちゅうそくじんたい）が伸び切ってしまっている状態です。
靭帯は、一度伸びると修復が難しいため、開張足を改善・矯正するのは難しいとされています。

開張足についてより詳しく知りたい方は、「開張足とは？ 知っておきたい原因と対処法、チェック方法」の記事をご覧ください。

また、足裏には大小10個以上もの「足底筋群」と呼ばれる筋肉があり、それらは足裏のアーチ構造を支える重要な役割があります。
すなわち、足裏の筋肉を鍛えることで、開張足や外反母趾などさまざまな足トラブルを予防することにつながります。

より詳しく知りたい方は、「足裏の筋肉をケアして足トラブルの元凶を断つ方法」の記事をご覧ください。

外反母趾で痛みが発生するメカニズム

外反母趾になると、どうして足が痛むのでしょうか。

理由は主に以下の３つです。

1. 突出部が靴に当たり、炎症や痺れを起こす【摩擦痛】
2. 母趾の付け根の関節付近が炎症して痛みを起こす【関節炎・関節痛】
3. 足の変形により神経圧迫やタコを形成して痛みを起こす【神経痛】

痛みの対処法を知りたい方は、「外反母趾のズキズキ痛み！ 今すぐ対処する方法【応急処置】」の記事をご覧ください。

突出部が靴に当たり、炎症や痺れを起こす【摩擦痛】

外反母趾になると、足の親指（母趾）の付け根が出っ張ります。
この部分が靴に当たることで、炎症を起こすので痛みます。

外反母趾の痛みは、進行度とは関係なく個人差が非常に大きいです。
また、若いうちは痛みを覚えることが少ないが、年齢とともに痛みが増してくるという厄介なケースもあります。

軽症の場合、突出部をクッションなどで守るなど対処療法で痛みを軽減することができます。

母趾の付け根の関節付近が炎症して痛みを起こす【関節炎・関節痛】

足の親指（母趾）の付け根の関節の周囲に炎症が起きていることが、痛みの原因です。

靴を履いておらず、安静時にもジンジンと痛む場合があります。
患部に痛みと熱を伴っているときは、冷湿布やアイシングが有効です。

炎症や痛みが治まった状態になったら、外反母趾のストレッチやマッサージが有効な場合もありますので、主治医に確認してください。

足の変形により神経圧迫やタコを形成して痛みを起こす【神経痛】

外反母趾による足の変形で、周辺神経の圧迫やタコの形成で痛みを覚える場合もあります。

神経痛の場合は、消炎鎮痛剤や湿布などが用いられます。
タコを形成した場合は、その部分の皮膚を除去します。

同時に、外反母趾の保存療法として矯正装具やインソールなどを用いながら、運動療法を行います。
足の変形が原因の神経痛はすぐに改善することが難しく、長期間の治療が必要です。

運動療法は、「外反母趾体操」を行うなど、主治医と相談しながら治療を進めてください。

外反母趾が悪化していくメカニズム

外反母趾になると自然治癒することなく、悪化の一歩をたどります。
なぜなら、下記のような要因があるからです。

1.加齢的変化

歳を取るとともに、足の中足骨が広がっていきます。
中足骨が広がると、開張足になります。

上述の通り、開張足は外反母趾患者の多くが患っており、以下にご紹介するメカニズムにより外反母趾が発症しやすくなります。

2.筋力の低下、関節や靭帯の緩み

大きな要因として、筋力の低下、関節や靭帯の緩みが挙げられます。
これらが起こると、本来足の親指を動かすはずの筋肉が以下のように足の親指を内反させる力に変わります。

1. 開張足になり、足の親指（母趾）が人差し指から離れるように外側へと広がる
2. 関節を動かすはずの筋肉が足の親指を「くの字」に変形するように引っ張る
3. 筋肉の引っ張る力が強まり、徐々に外反母趾が悪化していく

外反母趾は、開張足から発展するケースが多いです。
基本的には初期であれば改善する可能性もありますが、重度になるほど改善が難しく、場合によっては手術の検討などの必要性がでてきます。

外反母趾の対処方法については、「一日30秒から! 外反母趾を自宅で治す効果的な方法【４選】」の記事をご覧ください。

3.体重の増加

中年太りといわれるように、一部の方は歳を取ると体重が増えます。
これに加えて筋力が低下すると、体を支える足の筋肉に大きな負担がかかります。

やがて筋力が体重を支え切れず、関節や靭帯が少しずつ緩んでくると外反母趾の発症や悪化につながります。

体重増加は、外反母趾だけでなく、開張足や扁平足の原因としても知られています。
特に、骨格が形成しきってから発症する「成人期扁平足」は中年以降に発症しやすく、主な要因のひとつに体重増加が挙げられています。

より詳しく知りたい方は、「扁平足（成人期扁平足）とは？ 知っておきたい症状と原因」の記事をご覧ください。

参考1：『外反母趾　病態を理解し,正しい治療選択ができる』 編集：須田 康文（2019年,メジカルビュー社）

参考2：『外反母趾診察ガイドライン2022 改訂第３版』日本整形外科学会・日本足の外科学会 (監)

参考3：『外反母趾FAQ予防・治療の実践ガイド : 正しい靴の選び方, 履き方』　著者：柴田 義守　監修: 松井 宣夫, 和田 郁雄(2011年,診断と治療社）

まとめ

外反母趾の発症・痛み・悪化のメカニズムをそれぞれご紹介しました。

外反母趾や内反小趾の患者数は多いものの、原因が特定されておらず個々人によっても異なります。
もし、外反母趾の疑いがある場合、まずは整形外科を受診するようにしてください。

医師による適切な診療を受けつつ、対処法を行うことで痛みや変形が矯正される場合があります。
詳しくは、下記の関連記事をご覧ください。

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